ふとした遊び心がまねいた悲劇である。
セイロン(現・スリランカ)のヤサララク王は、散歩中、自分とウリふたつの道路工事人をみつけた。他人のそら似とはこのことか、顔立ちはもちろん、背丈、体格、年格好、すべてそっくりではないか。
この男をみて、王はあるイタズラを思いついた。
王は彼を宮廷に連れ帰り、ドア係に任命。驚いたのは男のほうである。道路工事人から一転、宮仕えの身へ華麗なる転身をとげたのだから。
男が宮廷にもなれたころ、王は男にそっと耳打ちした。
「ひとつ、わしとおまえが入れ替わってみないか?」
事情がのみこめずオロオロする彼をせきたてて、王は男と服を交換した。平凡な毎日にあきあきしていた王は、スリリングな刺激を求めていたのだ。
そんな遊びも回を重ね、王様役も板についたニセ王は、あるとき王座から、大声で家来たちを自分のもとへよびよせた。そして、なにごとかと集まった家来たちに、「あのドア係を殺してしまえ。妙なコトばかり口走っている、発狂したらしい!」と命じたのである。
王のイタズラを知る由もない家来たち。いま王座で命令をしているのが、ニセ王だとは夢にも思わず、命じられるままホンモノの王を殺してしまったのである。
なんたるどんでん返し!そしてその後何年間も、真実は知られないまま、男は王になりすましていたという。まさに、事実は小説よりも……。

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