フランス革命期、パリにエコール・ポリテクニクーという理工系の英才教育学校があった。
ここを卒業したカルノーという男が、1824年、28歳のときに『火の動力およびこの力を発生させるのに適した機関の考察』(以下『考察』)という論文を発表した。
この論文の内容は、のちの19世紀半ばから後半にかけて完成された熱力学という新しい物理学の基礎となるものだったが、このときは仲間うちで読まれただけだった。彼は、このほかにもさまざまな研究に没頭したが、残念なことに38歳のときにコレラが原因で夭折した。
そして、いつのまにか『考察』のことは忘れ去られ、彼の研究ノートも焼却されたり、紛失したりした。そのままでは、彼は忘れられた天才として歴史のなかに埋没してしまったかもしれない。
死後、数十年たって、やっとカルノーの熱力学に関する業續がみなおされ、やがて彼がいかに天才であったかがはじめてあきらかになった。しかし、その他の多くの研究業續は失われたままになっており、いまさらながら、その天才ぶりが惜しまれている。

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