昭和22年、カストリ(低俗な記事を中心としたもの)新聞『スリル』が、ワイセツ文言として摘発され、裁判がおこなわれていた。
このとき、検察側がだした証人が、謹厳で鳴る法学博士の金森徳次郎氏。
一方弁護側証人は、『四畳半襖の下張』の作者と目されていた作家の永井荷風である。
当然、それぞれの立場から、検察側、弁護側に有利な証言をしてくれるものと大きな期待が寄せられていた。ところが、公判の場で双方からだされた鑑定内容は、驚くべきものだった。
お堅いはずの金森先生が、「こんな昔話がワイセツとは」とやわらかい鑑定をしたかと思うと、やわらかいにちがいないと思われていた永井荷風が、「こんなものはワイセツだから、印刷して頒布すべきものではない」と、なんともお堅い鑑定をしたのである。
この正反対の鑑定には、検察側も弁護側もびっくり仰天。おまけに、裁判官まで目をシロクロ。これぞ、正真正銘の逆転裁判……?

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