天災は時として、こんなドラマのシナリオをつくったりする。
昭和39年、栃木県の宇都宮市で火事が発生。アパートが焼けてしまい、被災者の名前が新聞で公表された。
一夜明けて、A子と名のる女性(32歳)が火災現場近くの派出所を訪れ、火事のお礼をいって帰っていった。火事があったというのに、お礼をしていくとは、なんとも妙な話である。これにはこんなワケがあった。
じつは、このA子さん、ご主人が外泊したまま、長いあいだ家に戻らなくなっていた。八方手をつくして、その居場所を捜したのだがわからずじまい。
ところが、この火事のおかげで新聞の被災者のところに夫の名前がのっていたのを発見したのだ。いくら捜してもみつからなかった夫の居場所をつきとめ、しかも同居人の名前までわかってしまった。「同居人」とはもちろん主人の愛人である。それが「火事のおかげで、夫の居場所がやっとわかりました」というお礼につながったというワケ。
これには、さすがのご主人も観念したのか、妻子の待つ家に帰ることになった。火事のおかげで、事態が急展開、ついに愛人から夫をとりもどしたのだった。

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