江戸時代、将軍の食事は、あらかじめお毒味したのちに将軍のまえにさしだされた。それほど将軍の食事には気をつかっていたわけで、その分料理方の責任も重かった。
徳川家8代将軍吉宗が、あるとき、食事をしようとすると、料理のなかにハサミ虫がはいっていた。当然、料理方は詰問され、「死をもって詫びよ」といいだす者まで出る始末。料理方は、もはやこれまでと観念した。
すると、吉宗から、「そのハサミ虫を食ってみよ」という命令。料理方は事情をよくのみこめないまま、いわれたとおりにハサミ虫をゴクリ。
腹痛もなく、体になんの異状もなかったが、お裁きが気にかかって不安な日々をすごしていた。
やがて、ハサミ虫の一件は「無罪」との知らせがあり、料理方はひと安心。
吉宗は、料理方の生命に別条がなかったので、「余もそれくらいのことで死ぬわけがない、許してやれ」といったということだ。

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