宝くじといえば、庶民の夢。そして、そんな夢をみごとに勝ちとったのが、大分県で金物商を営む吉田勝(仮名)さんである。
彼は、昭和22年12月に売りだされた100万円宝くじの1等と前後賞をあわせて200万円を大当たりした。200万円といっても、当時とすれば相当な金額。彼は大喜びだった。
ところが、このニュースが全国に流れたとたん、彼のもとには寄付や借金の申し込みが800件あまりも殺倒したのだから、たまらない。おまけに、吉田さんはふたりの子持ちではあったが、離婚して独身だったために、金目当ての結婚の申し込みが420件。
近所や親戚の人たちにいたっては、吉田さんの人がよいのにつけこんで、家に連日押しかけ、飲めや歌えの大騒ぎをくり広げた。おかげで、200万円は半年もたたないうちに、煙のように消えてしまった。
それでも、吉田さんはまだツイていたのだろう。こんどは、長男が修学旅行先で買った宝くじが、50万円の大当たり。これで、もうまじめに働く気などすっかりなくなってしまった彼は、別府にできた競輪場でギャンブルに明けくれ、けっきょく、借金地獄におちいり、とうとう自殺してしまったのだ。
宝くじさえ当たらなければ、平凡でも地道な幸せがあったはずの吉田さん一家。大きな幸運が、とんだ悲劇をよんでしまった。

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