相撲は、まさに短期決戦である。ひとつの闘いは、ほんの1、2分で決着がつく。これがまた魅力のひとつなのだが、それだけに、力士の集中力はすさまじく、ひとつ勝つということは、ほんとうにたいへんでうれしいことなのだ。
昭和57年の秋場所のことである。前頭8枚目の大錦は、3日目の前頭3枚目の高望山が休んだために、ラッキーな不戦勝をおさめた。番付が自分よりも上の相手だっただけに、勝負をすれば大錦のほうが不利。だから、これはほんとうにうれしい一勝だった。
そして、翌日の4日目は天覧試合。昨日のラッキーをそのまま今日の勝負につなげるぞ……とばかりに、大張りきりの大錦。ところが、あまりに張りきりすぎたためか、突然ギックリ腰に襲われダウン。不運にも11枚目の神幸に不戦敗してしまったのである。
不戦勝のつぎの日に不戦敗というのは、長い大相撲の歴史のなかでもはじめてのこと。大錦は、あまりのくやしさに、寝返りもできない苦しい姿勢のまま、「チクショー!」とうなりつづけていたという。
世のなか、努力なしにいいことはつづかないようで……。

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