『坊っちゃん』は文豪・夏目漱石の作品の中で、もっとも親しまれているといっていいだろう。ちょっとおっちょこちょいで、曲がったことが大嫌いという一本気なところは、江戸っ子気質そのままだ。
もちろん漱石は、東京生まれ。イメージからするとなんとなく東京大学のある文京区本郷と思えるが、新宿の喜久井町なのである。ここには、漱石にちなんで夏目坂と名づけられた坂もある。
そんな東京っ子の漱石だが、本籍を北海道に移したことがあった。明治25年のことだ。理由はなんと徴兵を逃れるため。
当時は、徴兵制がしかれていた時代。が、北海道と沖縄はこの法律の適用外となっていたのだ。しかも、大学生は26歳まで徴兵免除とされている。
そこで、27歳をむかえる前にあわてて漱石は分家をつくり、北海道に本籍を移してしまった。そのころ漱石は26歳、そしてまだ東京大学の学生だったのだから、二段構えの徴兵逃れということになる。
この入念さからすると、漱石はかなりの慎重派にも見える。おっちょこちょいで、お先っ走りという『坊っちゃん』の主人公とは、だいぶちがうようだ。

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