今世紀のはじめ、欧米間では文通がさかんだった。アメリカ人の多くが、ヨーロッパから移住してきた人々だったからだ。
そのうち、船便だと手紙が届くのに半月もかかってしまうから、郵便を飛行機で運んでほしい、という声が高まった。ちょうど、リンドバーグや飛行家たちが、大西洋横断飛行を成功させたころである。
そこで、ついに1919年初頭、大西洋横断エア・メイル第1便が実現。ヨーロッパ向けの手紙を積んだ飛行機が、みなの期待もいっしょに乗せてアメリカ東海岸から飛び立った。
ところが、途中で飛行機に事故が発生。大西洋の真ん中で不時着水してしまった。乗員は救助されたものの、せっかくの記念すべき郵便物は飛行機の残骸とともに流されてしまった。
しかし、数日後、奇跡が起こった。たまたま付近を通った船が飛行機の残骸を発見し、郵便物を回収したのだ。びしょ濡れの郵便物を一手に引き受けたロンドン郵便局では、なんとか宛名を判読し、ヨーロッパ各地に配達したというから、出したほうも届いたほうも感謝感激。
ちなみに、あわや大西洋のもくずと消えてしまう運命を乗り越えたこれらの記念すべき郵便物には、ロンドン郵便局特製の「最初に大西洋を横断した郵便物」と彫られたスタンプが押されていたそうだ。

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