マーガレット・ミッチェルの「その」というのは、ひとつしかない。『風と共に去りぬ』、これだけである。この作品が、20世紀のアメリカが生んだ最大のベストセラーで、映画も大ヒットしたのは、いまさらいうまでもないこと。
この続編が別の人の手によって書かれ、これもベストセラーになったりしたが、これでもわかるように、だれもがあのつづきはどうなるのかを気にしていた。
しかし、ミッチェルは頑として、続編を書かなかったのである。そればかりか、『風と共に去りぬ』以外は、なにも書いていない。1作だけの大作家なのだ。
ふつうの主婦だったマーガレット・ミッチェルが書きためていた大長編小説は、いくつかの幸運な偶然が重なり、出版されることになった。1936年のことだ。
それから爆発的なブームとなり、映画の公開によって、さらにブームが広がる。ミッチェルはあちこちによばれ、パーティーにでたり、人と会ったりしなければならず、とてもゆっくりと小説を書く時間などとれなかった。
そうした嵐がようやくおさまったのは、十数年後のことだった。
しかし、これでようやく落ち着いた、と思った矢先の1949年、交通事故にあい、このベストセラー作家はあっけなく亡くなってしまう。スカーレット・オハラの「その後」については、ついに書かれなかった。
続編については、ミッチェルの遺族に対して、出版社が何度も交渉し、ようやく、そのキャラクターの使用権を得て、『スカーレット』というタイトルで出版されたのである。

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