K君は長い交際を経て、大学時代の友人T子さんにプロポーズ、めでたくT子さんのOKを得たが、こんどは両親に結婚の承諾を得るために、T子さんの実家である富山へ出かけることになった。
T子さんの実家は代々つづいた由緒ある雑穀肥料問屋。K君はその重厚な看板とのれんにまず圧倒された。そのうえ、案内されて奥の間へはいると、T子さんの親戚一同がズラリと勢揃いしているではないか。
すっかり緊張してあがってしまったKは思うことの半分もいえずに震えだす始末。第一印象は失格か、と観念していたところ、金色まばゆい仏壇が突然彼の目に止まった。
ふだんあまり信仰心のないKも、このときばかりは、神にも祈る気持ちで思わず深くこうべをたれて合掌。
その様子をみていたT子さんの父親が、なぜ仏壇を拝んだのか聞いたところ、Kは、「立派な仏壇に自然と頭がさがり、T子さんをこの世にうみだしてくださったご当家のご先祖様にお礼を申しあげたくなったのです」
などと調子のいい答えをした。しかし、この言葉や態度がT子さんの父親はじめ、居あわせたひとたちをいたく感心させ、T子さんとの結婚は無事まとまったのである。

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